<風疹対策も併せてご確認ください>
妊娠を希望する女性・その配偶者、妊婦の配偶者
 →大阪市・大阪府等の先天性風疹症候群予防事業を利用して風疹抗体検査が受診できます
*昭和37年~53年生まれの男性で、風疹抗体検査のクーポン券が届いている方
 →国としての風しん第5期定期接種事業を利用して風疹抗体検査が受診できます

麻疹(はしか)予防のポイント

・麻疹は感染力が非常に強い感染症で、肺炎・脳炎などの重篤な合併症も生じ得ます。
・発症予防には、麻疹ワクチンの2回接種が推奨されます。

ページ下部に、年代別の対応を記載していますのでご参照ください。

・以前に麻疹に罹った事が確実
・1歳以後で麻疹ワクチン2回接種記録あり

 →ワクチン接種の必要なし

・1歳以後の麻疹ワクチン接種が1回のみ
 →2回目の追加接種が推奨

・麻疹ワクチン接種歴がない
・麻疹に罹ったことがない

 →麻疹ワクチンを2回接種が推奨

上記が確認できる場合、事前の抗体検査は必須ではありませんが、
ご希望の場合はワクチン接種の前に抗体検査が可能です。

*抗体検査は随時対応可能です。

1.麻疹(はしか)について

麻疹の感染経路

・空気感染、飛沫感染、接触感染

空気感染(飛沫核感染)を示すため感染力は極めて強く、免疫の無い方が同じ閉鎖空間に居た場合、短時間であってもほぼ100%顕性発症するとされます。

一方、典型的な麻疹既往がある方や、1歳以後の麻疹ワクチン2回接種が住んでいる方は、麻疹ウイルスに接触しても強い症状が発現することはほぼありません

日本は現在「麻疹排除認定国」に認定されており、身の回りに罹患患者さんがほどんど居ないため、実感がなく危機感も抱きにくいものですが、国内で一人でも患者さんが発生すれば行政が直ちに対応することになっているような感染症です。

麻疹の典型的な症状

1)潜伏期:10~12日
2)「38度以上の発熱」+「カタル症状(鼻水、咳など)、目の充血、目やに等」が数日続く
3)発熱は一旦、1℃程度下がる
4)全身に発疹が出現し、39~40℃までの高熱が持続し、カタル症状もさらに強くなる
5)肺炎、中耳炎、クループなどを合併することが多い。
6)脳炎を合併することもある(肺炎、脳炎は二大死因)

「修飾麻疹」について

ワクチン接種後の免疫獲得が不十分であった場合や、獲得した免疫が経過とともに弱くなってきた場合は、麻疹症状を発症することがありますが、上記の典型的な症状に比べてはるかに軽い症状で済むことがあり、「修飾麻疹」と呼ばれます。

「修飾麻疹」の場合は感染力も弱いとされ、飛沫感染・接触感染への対策は必要ですが空気感染対策までは不要とされています。

麻疹(はしか)の治療

・麻疹ウイルスに対する根本的な治療方法はなく、対症療法のみです。

・重篤な合併症もあるため、ワクチン接種により、麻疹ウイルスに接触しても強い症状・合併症が生じないように予防することが重要です

麻疹ワクチンについて

麻疹含有ワクチンの種類

麻しん風しん混合ワクチン「MRワクチン」
・麻しんワクチン(麻疹のみの免疫)

基本的に、麻疹・風疹の両ウイルスに対する免疫を同時に獲得できるMRワクチンを使用します。

麻疹ワクチンの効果はいつから

ワクチン接種後、約2週間後からウイルスに対する抗体が血中に出現し、免疫が獲得できるとされます。

麻疹ワクチンの接種回数

麻疹ワクチンは、合計2回の接種が推奨されます

<1回ではなく2回の理由>

・1回接種による抗体陽性化率は95%で、1回接種では5%の方は免疫が得られません。
・近年は麻疹ウイルスに接触する機会が減っており、1回接種では抗体価が次第に低下する可能性があります。

2回接種により1回接種に比べて高い抗体価の維持が期待され、麻疹ウイルスに接触した際にも麻疹を発症しないか、非常に軽い症状で済み、他の方への感染力も低いとされています。

・発熱、皮疹などの副反応は1回目より2回目以降の方が少ないともされています。

・「抗体検査を定期的に何度も行って抗体価が低下したらワクチンを追加する」よりも、「はじめから2回接種を原則とする」方が現実的な対応と考えられます。

抗体陽性の成人に、麻疹ワクチンを接種しても良いか

・麻疹抗体陽性の成人に、麻疹ワクチンやMRワクチンを接種することに問題はありません。

・抗体が陽性だが抗体価が低い場合、追加接種により抗体価を高めることができます(ブースター効果)

・ガイドライン等では、麻疹ワクチン接種歴が1回のみの方の2回目の追加接種に際して、事前の抗体検査は必須とされていません。

*抗体検査は自費になり費用がかかりますが、ワクチンには副作用もあるため抗体検査結果により適応を慎重に判断し接種を検討するという考え方も間違いではないと考えますので、ご希望の場合は事前に抗体検査を行います。抗体検査は随時対応可能です。

年代別の麻疹対策

母子手帳等により接種記録を確認してください。

1)2000年4月2日以降生まれの方

・麻疹ワクチンの定期接種が2回となった年代

<対応>
・接種記録が2回:ワクチン接種は不要
接種記録が1回:2回目の追加接種が必要
接種記録なし:2回の接種が必要

日本国内の麻疹排除状態維持のためには幼児期の麻疹ワクチン2回接種が2回とも95%以上が目標とされていますが、近年は95%を下回るようになっており、麻疹に対する免疫がない方がおられると考えられます。

2)1990年4月2日~2000年4月1日生まれの方

・幼児期の1回接種に加えて特例措置として、中学1年生、高校3年性での追加接種(2回目)が実施された年代ですが、追加接種の受診率は低く接種1回の方も多いと考えられます。

<対応>
・接種記録が2回:ワクチン接種は不要
接種記録が1回:2回目の追加接種が必要
接種記録なし:2回の接種が必要

3)1972年10月1日~1990年4月1日生まれの方

・麻疹ワクチンの定期接種が1回であった年代

<対応>
2回目の追加接種が勧められます

4)1972年9月30日以前生まれの方

・麻疹ワクチンの定期接種は未実施で、麻疹ワクチンを1回目も接種していない可能性が高い年代
自然感染により麻疹に対する免疫を獲得している方が多いと考えられる。

一度典型的な麻疹を発症した人は、通常は生涯にわたる免疫(終生免疫)が獲得され、再び麻疹を発症することは無いとされています
・高齢になってから修飾麻疹を発症される例が報告されていますが、極めて稀と考えられています。

*0歳児で発症した場合は免疫の獲得・維持が不十分な可能性があるためワクチン接種が望ましい。
*麻疹に罹ったことがあると思っていても、実は他の似た病気(風疹や川崎病など)であって、麻疹に対する免疫がない場合もあり注意が必要です。

<対応>
麻疹に罹った事が記録等により確実
→ワクチン接種は不要

麻疹に罹った事が無い方、麻疹だったか不確実な方
→抗体検査や麻疹ワクチンも検討してください


*2007年~2008年に麻疹流行がありましたが、自然感染による免疫獲得が多かったと考えられるこの年代の方々での流行ではなく、ワクチン接種歴が無かったり、1回の接種で免疫を得られなかったと思われる10~20代を中心とした流行でした。

*麻疹に罹ったことの確実な証明ができない方でも、知らずに麻疹の免疫がついている方も多くおられると思います。この年代の方で麻疹既往が確実に証明できない方全員となると膨大な数になるため、全ての方に抗体検査やワクチン接種を行うというのは施策として現実的では無く、みなさんのご希望・お考えによりご判断ください。

ただし、医療機関、高齢者施設、介護施設、幼児施設等、麻疹感染の拡大を懸念すべき施設で働いておられる方などについては、抗体検査や麻疹ワクチン接種を積極的に検討いただくことが望ましいと考えられます。